Vol.13

クロコダイルの涙

1998年 / 英
原題:The Wisdom of Crocodiles
監督:レオン・ポーチ
脚本:ポール・ホフマン
キャスト:ジュード・ロウ / エリナ・レーヴェンゾーン /
     ティモシー・スポール / ケリー・フォックス

スティーヴン・グリルシュ(ジュード・ロウ)は、自分を愛してくれる女性の血を求め、誘惑し完全犯罪を重ねてゆく。
「完璧な愛」を求めるバンパイアにとって、癒されることのない孤独で命がけの行為だった。
彼には感情は無い。人間の感情さえ結晶というカタチで触れることができると信じている。
過去の女性たちは「絶望」「失望」「怨恨」「悪意」……の結晶しか残さなかった。
彼は、知的で情熱的なエンジニア、アン・レヴェルズ(エリナ・レーヴェンゾーン)と出逢い、彼女に「完璧な愛」を求め、自らも結晶ではない「完璧な愛」を模索し始める。
彼女の血を求めないまま、スティーヴンの肉体は朽ち限界に達し、愛する人と自分の命、愛と生の究極の選択をする時が訪れる。
スティーヴン・グリルシュは言う。
「何をしようと、僕には罪は無い……」

原題は「The Wisdom of Crocodiles」。 哲学者フランシス・ベーコン(1561~1626)の随筆集からの引用で、『ワニが獲物を飲み込む時に罪悪感を拭おうと涙を流してみせる知恵・分別』。自己愛の戒めらしい。

スティーヴンがアンと初めてベットを共にした時、爬虫類の描かれた走馬燈が映っている。カタチを変え一瞬、竜脚類のようにも変化する。
彼の言葉は印象的である。
「人間の脳はとても古い歴史を背負っている。神経学的に言えば人間も動物だ。そもそも、人間には四肢がありしかも誰もが鋭い歯を持っている。」
「人間には三つの脳がある。一つは人間の脳。その奥に哺乳類の脳。その更に奥に爬虫類の脳……」
「横になれ、と言われたら自分のなかの馬も一緒に横たわる。そしてワニも横たわる……」

爬虫類の脳があるならば……。そのずっと奥には恐竜の脳もきっとあるに違いない。