Vol.162

Little DJ 小さな恋の物語

2007年 / 日本
原題:Little DJ 小さな恋の物語
監督:永田琴
原作:鬼塚忠
脚本:永田琴・三浦有為子
キャスト:神木隆之介 / 福田麻由子 / 広末涼子 / 佐藤重幸 / 村川絵梨 / 松重豊 /
     光石研 / 小林克也 / 西田尚美 / 石黒賢 / 原田芳雄 / 他

1977年を舞台に展開する小さな恋の物語である。とにかく、あの時代を生きた者にとっては切なく懐かしい。そして、70年代を経験することはなかった人にとっても、それは同じである。
北海道函館、海辺の病院。高野太郎(神木隆之介)は13歳、血液検査の結果が思わしくなく、入院が続いている。野球好きでラジオから聞こえる野球の実況中継の真似が得意、深夜のラジオ番組「ミュージック・エクスプレス」のファンだった…。
退屈な入院生活にウンザリし始めた頃、通称“大先生”(原田芳雄)の発案で、「とっておきの治療」だと太郎がDJをする昼の院内放送が始まる。血液検査の結果はわずかながら回復、太郎が恋に落ちた一つ年上の少女、海乃たまき(福田麻由子)との関係も、全てが良い方向へ動いているように見えた。だが、現実はあまりにも残酷だった……。

恐竜は、三度登場する。
病院で太郎が着ているパジャマにデザインされている。ラプター、パラサウロロフス、アンキロサウルス、ディプロドクス、イグアノドン……。
シルエットのプリントだ。
最初は、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」が流れる辺り(チャプター2)。
二度目はたまきとオリオン座を観るシーン(チャプター7)、三度目は、退院したたまきが、太郎を見舞いに来る時(チャプター8)だ。

「とっておきの治療」も及ばない現実があった。たまきに自分の気持ちを伝えられない太郎だったが、残された時間を生きる。
クイーンの「Somebody to Love」、そして、あの頃が胸に痛い映画だ。