Vol.174

きのこの世界

2001年 / 日本(科学映画)
原題:きのこの世界
監督・脚本:樋口源一郎
研究・撮影:石井董久
解説:和田篤
企画:樋口生物科学研究所
製作:株式会社シネ・ドキュメント

「きのこ」と言えば、マツタケかシイタケ、トリフくらいしか思い浮かばないのが悲しいが、 実は、日本のキノコだけでも2万〜3万種類あると言われている。2万〜3万と、1万も差 があっていいものか……、それほど、きのこは未知の部分を抱えている。
実は、実際に目にしている部分はキノコの一部で、子実体(しじつたい)と呼ばれる胞子 を作るための生殖器官だ。植物の「花」にあたる。子実体から地中に張り巡らされた菌糸 すべてがキノコの生命活動のほとんどを担っている。菌糸の森が地下に広がっているわ けだ。そのイメージは、宮崎駿監督のアニメ「風の谷のナウシカ」に登場したフカイ(腐海)の粘菌類そのものだったりする。
科学映画「きのこの世界」は、きのこという生命の仕組みを、微速度撮影を駆使しながら 美しいドラマチックな映像で描いている。

恐竜は、オープニングで地球環境の解説場面で映る。

「鬱蒼とした森に入ると、たくさんのキノコを見かける……。日本列島が形成される遙か以前……。」
淡々としたナレーションで「きのこの世界」は進み、ハドロサウルスの右胸骨とトリケラトプス が映る。きのこと共生関係をもった植物は氷河期を生き残ることができたのだという。

きのこの世界と恐竜の世界が交差する。きのこも恐竜も未知の部分が多く残され アマチュアの活動も盛んである。樋口源一郎監督は、富士山や月山に入り、この映画 を撮った。当時93歳だったという。研究室ではなくフィールドに憧れるのも、きのこと恐竜が共通している点なのかもしれない。共生はできなかったのだが。