Vol.179

妖怪大世紀

2008年 / 日本
原題:妖怪大世紀
監督:松 宏彰
キャスト:堀 有希 / 深澤ゆうき / 大石里沙 / 高梨麻衣 / 黒沢萌衣 /
     田中涼子 / 安藤成子 / 他

2009年、今年の干支は丑である。元々、十二支は植物が種から成長して実を結ぶまでを現した漢字で、解りやすくするために動物の漢字を対応させているのだという。「丑」には「牛」をあてる。
クダンという妖怪がいる。江戸時代から現代まで、度々、目撃を噂される都市伝説的な妖怪で、古くは、その姿は体が牛で人間の頭部を持つとされることが多い。生まれてすぐに予言をし、言い終えると死んでしまうという。予言の内容は、災害や疫病といったものが多く、社会に異変があるときに現れる。その予言は絶対に外れることはないのだという。災いだけでなく豊作や家内繁盛を予言することもあったらしく、ありがたい妖怪として巷間に広く知られていたようだ。ちなみに、漢字は「件」と書く。文章や物語に嘘偽りが無いという意味で、「件の如し」のように使う。 「妖怪大世紀」には、クダンは登場しないが、結構メジャーな「妖怪」を現代的に検証した作品だ。「覚(さとり)」「七人ミサキ」「面霊気(めんれいき)」「濡女(ぬれおんな)」「山地乳(やまちち)」「天狗(てんぐ)」「ぬらりひょん」「河童(かっぱ)」「赤マント」「座敷童子(ざしきわらし)」など10の妖怪ストーリーが再現フィルム仕立てで構成されている。

恐竜は、天狗の章で登場する。

1985年7月石川県での話だ(00:32:30)。自宅にいた少年が突如いなくなる事件があった。少年の部屋には連れ去られる直前まで見ていたと思われる図鑑のページが開かれていた。海棲爬虫類と竜脚類のページだった。
捜査も虚しく月日が過ぎたが、ある日突然、少年は押し入れで眠っていた。
人々は、7歳の子を隠れ里へと連れて行く「天狗隠しから帰ってきたのだろうと」言い合ったという。

恐竜も妖怪もアマチュア研究家が専門家を凌駕できる分野である。人や集団の心理が生み出す妖怪は、恐竜研究とは明らかに異質だが、共に予め失われた世界である。ただ、その「失われ方」は異なっている。
ところで妖怪は出現することに意味があるとする説もある。無意識的に、人々が社会に不安を感じ始めているということであり、抗えない悲劇に向けて心の準備をするための装置であるというのだ。因って件のごとし、近年の妖怪ブームをどう考えるか、問題である。