Vol.2

羊たちの沈黙

1991年 / 米
原題:The Silence of the Lambs
監督:ジョナサン・デミ
キャスト:ジョディー・フォスター / アンソニー・ホプキンス /
     スコット・グレン / テッド・レヴィン

映画「ハンニバル」は「羊たちの沈黙」の続編だということは周知だと思う。
前回、連続猟奇殺人鬼ハンニバル・レクターとFBI捜査官クラリス・スターリングの二人が再会をする場面に、ティラノサウルス・スーが登場することを話した。
実は「羊たちの沈黙」にも、アロサウルス(2体)とデュプロドクス(3体)の間をクラリスが横切るシーンがある。「CARNEGIE MUSEUM of NATURAL HISTORY」だ。
映画の設定は、殺害された女性の喉に詰められていた蛹(さなぎ)の調査に、クラリスが赴く博物館である。蛹は「死の頭」というあだ名のアジアにしか棲息しない珍しい蛾、学名 Acherontia Styx(アケロンティア・スティックス)だと判明するのだが、偶然に、アロサウルスやティラノサウルスと共に、クラリスはスクリーンに映し出されたのだろうか……。
アロサウルスはジュラ紀後期の食肉性恐竜で、管理のゆきとどいた、人気のない、ほの暗い博物館の建物の内部に展示されていた(羊たちの沈黙)。
ティラノサウルスは白亜紀後期の食肉性恐竜で、人々の往来の耐えない衆目にさらされた場所に展示されていた(ハンニバル)。
レクター博士の状況と、クラリスとの関係に酷似してはいないだろうか……。
クラリスが使っているエビアンのクリームとニナ・リッチの香水「レール・デュタン」を嗅ぎわけるレクターの嗅覚。しかも彼は「レール・デュタン」をクラリスが今日はつけていないところまで指摘できる。
そして、自分の美学を貫く(生き残るための)凶暴さ……残忍さ……。
更に、アパトサウルスとデュプロドクスの間近を横切りクラリスは、カブト虫やコガネムシなどの「甲虫」を駒にチェスをしている二人の学芸員に会うのだが、アロサウルスとデュプロドクスは何者にも支配されることのない、巨大さと生きるための意志を象徴しているように思えてならない。
映像ではデュプロドクスの全形は映らない。デュプロドクスはアパトサウルスと極めて近縁な竜脚類だ。フェバリットのアパトサウルス・スケルトンモデルを見れば、3体のデュプロドクスがどんな具合に展示され、クラリスにどんなふうにデュプロドクスが見えていたのか……想い描くことも可能だろう。
アパトサウルスは体重30t~35t。デュプロドクスは体重約12t~16t。あれでも随分と華奢なのである。