Vol.25

フック

1991年 / 米
原題:HOOK
監督:スティーブン・スピルバーグ
キャスト:ロビン・ウィリアムズ / ダスティン・ホフマン /
     ジュリア・ロバーツ / ボブ・ホスキンズ / マギー・スミス

ピーターパンのように空を飛べたら……、ティンカーベルと冒険に旅立ちたい……と願った時代が誰にもあったはずだ。
映画「フック」は、大人になったピーターパン。空も飛べず、戦い方も忘れてしまったピーター・バニング(ロビン・ウィリアムズ)の物語だ。
彼はアメリカ在住の弁護士。妻のモイラと息子ジャック、娘のマギーの4人家族。携帯電話のホルダーを身につけ、家族と過ごす時間も仕事のことを忘れない。しかも、高所恐怖症……。
10年ぶりにロンドンに住むウェンディ(マギー・スミス)を訪ねた時のことだ。ジャックとマギーが、ネバーランドのフック船長(ダスティン・ホフマン)に誘拐されてしまう。それは、ネバーランドへ決着をつけに来いというフック船長のピーターパンへのメッセージだった。
子供たちを救い出すため、40歳のピーターパン、ピーター・バニングの冒険が始まる……。

昔、探した妖精ティンカーベルをジュリア・ロバーツが演じている。
飛べなくなってしまったピーターパンに彼女は語る。
All you need is one happy thought.
One happy thought will make you fly.
楽しいことや幸せを思い浮かべれば飛べるのだが、弁護士ピーター・バニングにはとても難しい。
だって彼は、自然保護区の買収が思うようにゆかなかった時、恐竜を引き合いに出してこんなことを言うのだから。
Tell them there're always been casualties of evolution.
Ask them if anybody misses the Tyrannosaurus Rex.
進化には犠牲がつきもので、誰もティラノサウルスに同情する奴なんていない。この性格ではティンカーベルでもピーターパン復活への道は遠い。

ネバーランドは時の止まったお伽の国だ。ピーターパンはウェンディの娘モイラと結婚し、空を飛ぶことを忘れ、楽しい時間を犠牲に大人への成長を望んだのだ。彼は、大人への進化の方向を誤っただけなのかもしれない。
ネバーランド以外の国では成長を止めることはできないけれども、例えば、僕らはフェバリットのモデルを手にする時、かつて子供時代のそれより遙かに大きな高性能の翼に気づく。どれほど忙しくとも、眠りから醒めきらぬ、夢とも現実とも解らない境目の世界、ネバーランドでなくてもね。