Vol.32

紅の豚

1992年 / 日本
原題:紅の豚
監督:宮崎駿
声の出演:森山周一郎 / 加藤登紀子 /
     桂三枝 / 上條恒彦 / 岡村明美 /
     大塚明夫 / 関弘子

飛行艇全盛時代のアドリア海を舞台に、誇りと女と金をかけて、空中海賊(空賊)と戦う一匹の豚の物語である。紅の豚と呼ばれるポルコ・ロッソだ。自らに魔法をかけ豚になる前は、マルコ・パゴット、イタリア空軍の飛行艇乗りだった。
「カッコイイとは、こういうことさ」のコピーで知られる「紅の豚」には、豚のカッコイイ生き方と共に、渋い台詞が散りばめられてる。
「飛ばねぇ豚はただの豚だ」(ポルコ・ロッソ)
「戦争で稼ぐ奴は悪党だ。賞金稼ぎで稼げない奴は能無しだ」(ジャンク屋のおやじ)
「国家とか民族とかくだらないスポンサーを背負って飛ぶ時代。冒険飛行家の時代は終わった」(フェラーリ)
「空賊は空と海の両方が心を洗う……」(フィオ・ピッコロ)
「ルールは無い。但し、卑劣なまねをした奴は永久に軽蔑されるであろう」(マンマユート・ボス)
飛行艇乗りの誰もが恋するホテル・アドリアーナのマダム・ジーナの、一言一言に、感じたりもする。

物語は、ポルコにいつも邪魔されている空賊連合が打倒紅の豚を計画、シュナイダー・カップで2年連続優勝しているアメリカのロナルド・カーチスを雇い入れたところから急展開する。カーチスはポルコのエンジン不調につけ込んで撃墜……。
ポルコは、昔から付き合いのあるミラノのピッコロを頼りに愛機の修理と改造を依頼する。設計は社長の孫娘フィオ・ピッコロが担当。彼女はポルコが1910年単独飛行した時と同じ17歳だった……。
ポルコとカーチスとジーナ、ポルコとフィオとジーナ……、重なり合う三角関係がストーリーをおしすすめてゆく。
ちなみに、シナイダー・カップ・レースは、実際に行われていたレースで、飛行艇(水上機)の発展を願い1913年に始まった。そして、確かにアメリカは第7回、第8回の大会でカーチスという機体で優勝している。

恐竜はラスト近く、ホテル・アドリアーナに貼られた一枚の映画のポスターに描かれている。ティラノサウルスだ。
主演はロナルド・カーチス。
タイトルは「TRIPLE LOVE」(トリプル ラブ)。
ロナルド・カーチスがジーナに語ったこんな台詞があった。
「一緒にハリウッドへ行こう。その次は大統領。ジーナを必ず大統領夫人にしてみせる……」。
渋い台詞は彼には無かったが、なかなかカッコイイ生き方ではある。