Vol.84

16歳の合衆国

2003年 / 米
原題:THE UNITED STATES OF LELAND
監督・脚本:マシュー・ライアン・ホーグ
製作:ケヴィン・スペイシー
キャスト:ドン・チードル / ライアン・ゴズリング /
     クリス・クライン / ジェナ・マローン / レナ・オリン /
     ケヴィン・スペイシー / ミシェル・ウィリアムズ /
     マーティン・ドノヴァン / アン・マグナストン / 他

春の明るい午後だろうか、16歳の少年リーランド・フィッツジェラルド(ライアン・ゴズリング)は恋人ベッキー・ポラード(ジェナ・マローン)の弟、知的障害児のライアンを刺殺してしまう。リーランドは「僕は過ちを犯したと思う」と母親のメアリベス(レナ・オリン)に告げただけで、誰にもその理由を語ることはなかった。
矯正施設の教師のパール(ドン・チードル)は小説家志望。リーランドの父アルバート・フィッツジェラルド(ケヴィン・スペイシー)は有名作家であり、彼の敬愛する小説家だった。パールはどう見ても犯罪を犯しそうにない知的で繊細なリーランドに興味をもつ。そして、彼を題材に小説を書こうと、教室以外では接してはいけない施設のルールを無視し、図書室でカウンセリングをするかのように、事件の真相に迫ろうと試みるのだった。
リーランドはパールに手渡されたノートに、リーランドの合衆国(THEUNITED STATES OF LELAND P FITZGERALD)と自分自身の記憶の断片を書き綴っていった……。
ノートは、ラスト近くでパールに手渡されるのだが……。
結末は、あまりに唐突に訪れ哀しい。

恐竜は、ポラード家の居間で登場する。フェバリットコレクションのブラキオサウルス(oldies model)に似たそれと、ティラノサウルス2体、緑のブラキオサウルス。
ベッキーの姉ジュリー(ミシェル・ウィリアムズ)が、父ハリー(マーティン・ドノヴァン)に「仕事に出かけるの?」と尋ねるシーンである。

リーランドは、祖母の死、ベッキーとの別れ、息子を省みない父親、ライアンへの愛、自分と関わる人々が抱えている哀しみ……、世界に満ちている理不尽な哀しみに対処すべき術を持ち合わせていなかったのだ。そして、ただ一つ、明らかになったのは事件のあったあまりにも明るい午後、リーランドがライアンをポラード家まで送って行ったあの日、恋人のベッキーにもまともに言わなかった言葉をライアンを抱き寄せ、優しく囁いたのだった。
“Everything is OK. I promise.”