エッセイ

Vol.38 昭和ソフビ恐竜大全 - 50年代後期〜60年代編

我家のコレクションの中には、めぐり会った時の状況を何故か克明に思い出せる物がいくつか有ります。「クローバー1/50恐竜シリーズ」もその一つ。手に入れて狂喜したという記憶は無いのに不思議です。
年は正確にはわかりませんが、多分昭和58〜59年頃、場所は東京大田区久が原にあった伝説の(?)模型店「モデル・エース」。その日、絶版プラモマニアの友人と都内の模型屋をハシゴして、夕闇迫る頃に寂れた商店街のこじんまりとした店に辿り着いた私を待っていたのは、店の外に無造作に置かれた恐竜の絵の大きな箱で、中にはクローバー1/50恐竜シリーズ全20種がそれぞれ大小のパッケージに収まって詰められていました。おそらく大英自然史博物館の恐竜シリーズにヒントを得たと思われる、日本初の統一スケールのソフビ恐竜シリーズです。
クローバーはあの「ガンダム」の第一シリーズのスポンサーだった事で有名で、超合金ガンダム等を発売していましたが、シリーズ終了前に倒産してしまいます。ガンダムはバンダイに引継がれ、その後いわゆるガンプラがブレークするのですが、クローバーが倒産したのは昭和58年なので、私が恐竜シリーズを手に入れたのは倒産後の事かもしれません。売れ残った品物が流出したのでしょうか。
クローバーの恐竜はヤフオク等で単品ではたまに見かけますが、全部揃っているのは我家以外では見たことがありません。ちょいと自慢の一品ではあるのですが、前回のリペイント同様、コレクター初心者故の過ちで箱を捨ててしまった事が、またしても、2回連続で悔やまれます。

写真 1:アパト、ブラキオ、プラテオ。写真 2:ティラノ、ゴルゴ(珍しい!余談ですが最近ゴルゴサウルスの名が復活したのは嬉しいですね。)、アロ、ケラト、写真 3:コリト、イグアノドン、トラコドン、パキケファロ(小さすぎ)、写真 4トリケラ、アンキロ、ステゴ、写真 5プテラノ、プレシオ、アーケロン、モサ、イクチオ、ディメトロドン
以上20種で、同スケールの原人(3cm程)が各恐竜におまけとして付いています。

唯一残ったパッケージ(写真 6)(アーケロン)、恐竜事典(写真 7)としおり(カタログ)(写真 8)入り。
大英自然史モデルには遠く及びませんが、それぞれの種の特徴をふまえた丁寧な造りと彩色で、前回紹介した50年代前期の物からは格段の進化を遂げています。

写真 9は、むしろクローバーよりも見つけた時のインパクトが大きかった物。JAPAN GREAT CO.LTDと刻印された素性不明の恐竜達ですが、形が良い上、珍しくケントロサウルスと現在ユーオプロケファルスと呼ばれるスコロサウルスがモデル化されていました。探し回った挙句、最終的にコンプリートできたのが、湘南の観光地、江ノ島の土産物屋の店先というのはドラマチック過ぎます。

その後、リアル過ぎて(但し旧タイプですが)もはや玩具と呼ぶのも憚られる「ツクダ」の1/30シリーズ(写真 10)や、現在精力的にソフビ恐竜シリーズ「大恐竜時代」を展開中の「ハピネット」に吸収された「ハーティロビン」というメーカーの「大恐竜時代」シリーズ(写真 11 …って今も昔も同じネーミング!)などが出回る頃、昭和は終わりを告げたのです。

田村博氏

田村 博 Hiroshi Tamura

ジャズピアニスト。1953年1月27日生まれ。
恐竜倶楽部草創期からのメンバー。恐竜グッズ収集家として知られる。東京、横浜のライブハウスを中心に活動中。
1996年に、ベースの金井英人のグループの一員としてネパールでコンサートを行った。「開運なんでも鑑定団」などテレビ番組や雑誌に度々登場。「婦人公論」2002年7/22号で糸井重里氏連載の「井戸端会議」で国立科学博物館研究室長・富田幸光氏と対談。千葉県市川市のタウン誌「月刊いちかわ」に、恐竜に関するエッセイを半年間連載。1998年の夏には群馬県と福島県の博物館の特別展にコレクションを提供。2000年夏には福井県「恐竜エキスポふくい2000」にコレクションを提供、サックス奏者、本多俊之とのデュオで、恐竜をテーマにしたコンサートを行った。

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